2016年6月14日火曜日

総主事コラム ブログ 2016年6月

小さな一灯

大量の支援物資を積む
大型トラックが行き交う中
真っ赤な横浜完熟トマト
電池不要のソーラーランタン
薫り高いドリップコーヒー
載せた小さな車一台が
横浜から熊本へ。
3箱のトマトが千人に
毎日使われるともし火に
コーヒーの香りが笑顔に
小さな思いをつないで
希望のともし火になっている
ともし火を高くかかげよう。

 横浜YMCA熊本地震緊急支援第一陣が運んだ横浜トマトは、熊本の外国人の多い避難所に届いた。600人を超える人々に3箱のトマトがふるまわれた。後で数えたら実は、千人近い避難者だったが、全員の口に入ったという。どうやってと思ったが、なんと炊き出しのカレーに細かく刻んで入れられ、横浜から励ましの思いの詰まるトマトが隠し味で入れられていると各国の言葉で伝えられていた。避難者の中には、トマト入りカレーの写真に、全国の応援を受けて元気だと母国に希望を感じさせるメールを送った方もいたらしい。
 横浜の企業が開発したソーラーランタンは、3カ所の避難所に届いた。電気が復旧しても断水や配管の損傷で、いまだに、屋外の仮設トイレでの生活が続いている。電気が通じていない仮設トイレに電池の補充がいらず、防水も兼ねているソーラーランタンが大活躍で、あふれる物資の中で、暗闇を照らす希望のともし火を輝かしている。
 心折れる日々の中、コーヒーの薫りが避難所に広がり、椅子に座って友人と飲むコーヒーは、日常を取り戻す瞬間で、心の重荷を下ろすひとときとなっている。今では避難者がマスターになり、人々を癒すカフェが続いている。それぞれ、小さな一灯だが希望のともし火となっている。
(横浜YMCA総主事 田口 努)