2016年6月14日火曜日

日本の伝統的な個人邸宅を訪ねて

横浜YMCA 地域交流事業「Japanese traditional private house伝統的個人邸宅訪問」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流機会を設けています。
6月5日にドミニカ共和国(カイゼンと5S)、ペルー2(植物遺伝資源の多様性保全に関する先端科学、生物圏保存地域を対象にした持続性教育)、パラグアイ(生活習慣予防に関する疫学統計)、ブラジル(カイゼンと5S)、アフガニスタン(生命ナノシステム研究)、インド(機械工学)一般参加3名が市内の伝統的個人邸宅を訪ねました。
 梅雨の季節の到来を感じる紫陽花と着物姿の3名の方々に出迎えられ、雨が上がった庭から見学しました。青々とした緑の中にシモツケ、ホタルブクロなどの季節の花を通り抜けると茶室(旧味噌倉)に出会います。 昔と今の使い方を聞きながら見学し、蹲に。手の洗い方を教わり、一人ひとりやってみた後、「雲夢庵」という貴重な茶室の説明を聞いて写真会。茶室に掲げられている表示板が有名な方の書にて書かれてあり一同びっくり。鯉がいる池を通りながら、季節の植物と小さな社や蔵をみながら、玄関に着きました。
玄関では旅館のような風情ある作りと飾りによって迎えられ、主屋内見学に。
時代を感じる旅館のような、赤い敷物の玄関を通って、築125年の家を支える大黒柱について、また生活感あふれる部屋まで見せて頂きました。コタツを見つけたアフガニスタンの研修員は「同じものがアフガニスタンにもあります」との話もでました。
皆が揃ったところで、家主のご趣味である、和毬作りや額に飾られた手工芸の飾り物、そして亡くなったご主人の衣類の布で作った尾形光琳の作品にそっくりな金屏風など、和の趣味の紹介をいただきました。
大広間では、お弟子さんからお茶をたてて頂き、季節のお茶菓子戸とともにお点を堪能しました。お茶の説明をききながらいただき、お茶道具が家元の証明がついたものばかりで、後でかなり高価なものだったことがわかり、一同驚きを隠せませんでした。
場所を移して応接室では、参加者全員が実際にお茶をたててみて、自分でたてたお茶を飲みました。なかなかお茶に空気を通すのが難しい方もいましたが、雰囲気がよく素敵な場所でしたので、一服したら「ここから動きたくないです~。」という研修員も。
最後に応接室では家主から「家」の話を聞いて、多くの質問も飛び交い、楽しい交わりの時となりました。
家主からは「私たち(昔)は、好きとかでなく、合う家柄どうしで親に決められて結婚したので、主人(亡夫)のことは全く好きではありませんでした。でも、家を通して人生の年月を重ね、今でも心の中で愛する主人が生きています。死ぬのは怖くありません。だって愛する夫と再び会えると思うからです。」との言葉に感動して涙する研修員がちらほら。
研修員からは「生活感のある伝統的な個人邸宅に行け、家主の経験から話される言葉に納得、感動しました。お茶を含め貴重な茶人のおもてなしを感じ感謝です。」との感想がありました。
(JICA-YMCAデスク 石川 義彦)