2016年10月29日土曜日

日本の古民家を見学

横浜YMCA地域交流事業「The NIHONMINKAEN Bus Tour (日本民家園バスツアー)」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 10月22日にミャンマー1(電気・電子工学 博士1)、スリランカ1、マレーシア3(海上保安事務者のための救難・環境防災コース)、トルコ3(社会基盤整備における事業管理)、インドネシア1(機械・製造工学 博士2)、インド1(FREINDSHIP慶応2016博士課程)、ブラジル1(医用材料と再生医療)、アフガニスタン1(PEACE・2014・農学横浜市立大学生命ナノシステム科学研究所)の12名とボランティアガイド3名で川崎市にある日本民家園を訪問しました。
民家園へ向かうバスの車内では横浜や川崎の歴史や日本家屋の特徴についての説明を聞いて過ごしました。横浜を出発して川崎市内を走っていても、車の多い幹線道路が続き、いったいどこに伝統的な日本家屋があるのだろうかと不思議そうに窓の外を眺める研修員もいましたが、緑深い生田緑地に到着し、民家園の入り口が見えると皆の表情が一変しました。入り口では3名のボランティアガイドの方々が待っていてくださり、研修員たちと合流後、民家園散策がスタートしました。
 最初に本館展示室で園内に展示されている建物の地域や年代によって異なる構造や工法について説明を聞きました。山の斜面に建てられた民家や船の収納庫の上に住居を備えた船屋など、初めて見る形の日本家屋に研修員たちは驚いた様子で、熱心に話を聞いていました。
展示室を見学した後は屋外の建物を回りました。展示されている建物の中には、靴を脱いで室内の見学が出来るものもあり、ふすまや障子、天井など日本家屋の特徴について聞きながら一部屋ずつ見て回りました。中でも玄関に飾ってある特大の木彫りの虎の置物が珍しかったようで、迫力のある大きな虎の横でポーズをとって順番に写真を撮る様子が見られました。
園内には薬問屋や民家、武家屋敷の門など様々な造りの建物があり、まるで昔の日本にタイムスリップしたみたいだと嬉しそうに話す研修員もいました。また、細い坂道を上って木々の間から合掌造りの三角屋根が見えた時にはその美しさに研修員たちから歓声が上がりました。建物の外観の美しさはもちろんのこと、建物の内部の無駄のない、効率的な構造にも感心していました。雪深い地域では馬などの家畜も暖かい屋内で飼うスペースがあることに興味を持っていました。トルコの研修員は母国の住宅とは材料・構造・使い方などあらゆる点で異なることに驚いていました。伝統的な日本家屋は仕事場であり、人々が集うコミュニケーションの場であり、家族や家畜が生活する場でもあり、いったい何通りの使い方があるかと話していました。一方、インドやミャンマーの研修員は母国の住宅と多くの共通点を見つけたと話していました。素材や風通しを重視した構造など似ている点が沢山あり、日本の建物の中にアジアのつながりを見つけて喜んでいました。
当日は朝早くから稲刈りのプログラムがあり、そちらにも参加していた研修員たちは少し疲れた様子も見せていましたが、園内のほぼすべての展示を見て回ることが出来ました。ツアー中、いつもは別々の研修に参加している研修員どうしがお互いの研修の内容や母国の様子などを話しながら楽しく散策する姿も見られ、研修員同士も良い交流の機会となったようです。
 ボランティアガイドの方々とお別れの際には皆さんからサプライズで研修員1人ずつに手作りの紙人形のお土産を頂きました。可愛らしい人形を見て「僕の家族の分も欲しい!」と思わず研修員から声があがり、皆の顔に笑顔があふれました。心地よい秋風の吹く緑豊かな生田緑地で、日本の伝統・文化に触れるツアーとなりました。
YMCAデスクでは日本人ボランティアの参加によるプログラムや様々な体験を通して日本の自然や文化を学ぶ機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田 真由美、石川 義彦)