2016年9月30日金曜日

庭園とタワーでエクササイズ

横浜YMCA地域交流事業「Japanese Garden and Yokohama Symbol Tower Tour三渓園とシンボルタワー」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 9月25日(日)にインドネシア1(機械・製造工学 博士2)、インド1(FRIENDSHIP慶応2016博士課程)、アフガニスタン2(2016・農・横浜市立大学生命ナノシステム科学研究)、ブラジル2(医用材料と再生医療、家畜感染症及び人獣共通感染症の診断予防技術)の6名で三渓園と横浜シンボルタワーをめぐるツアーを実施しました。
 参加した研修員の中には来日してまだ1週間足らずの人達もいましたので三渓園までのバスの車内では横浜とみなとみらいの歴史や横浜駅周辺の電気店やラーメン店の情報など、横浜に関する様々なテーマが話題になりました。
 当日は久しぶりの好天に恵まれ、三渓園も朝から多くの観光客で賑わっていました。研修員たちにとっては初めての日本庭園で、入場門を抜けるとすぐ目の前に広がる大きな池と遠くに見える三重塔、開放的な空間に驚きの声があがりました。先ほどまでの都会の街並みとはまるで別世界の緑豊かな園内の景色にすっかり心を奪われた様子で、研修員たちはみな思い思いの構図で熱心に写真を撮っていました。ところが、しばらくすると写真を撮るのをやめ、腰をかがめて池の淵を覗き込み始めました。そこには久しぶりの晴れ間に池から出てきて甲羅干しをする亀と人影に集まってきた鯉の姿が。日本の池ではよく見られる光景も研修員たちにとっては新鮮だったようで、大きな日本庭園をまるで自分たちの庭のようにのんびりと過ごす小さな生き物たちに興味津々でした。
研修員たちのリクエストで内苑と呼ばれる臨春閣周辺と、三重塔を見学することになりました。内苑は開放的な大池とは異なり、緑の木々に囲まれた小さな池とひっそりとたたずむ伝統的な日本家屋とが絶妙なバランスで配置されていて、その美しさに研修員達が思わず息をのむ様子が見られました。池の周囲の小道を歩きながら、見る角度によって表情が変わる庭の景色に感動し、日本庭園の奥深さに驚いていました。もう少し経つともみじが色付き、池の周囲が赤や黄色で彩られると聞いた研修員は是非、違う季節にも訪れて見てみたいと話していました。
内苑を散策した後は皆が気になっていた三重塔を目指しました。小高い丘に建つ塔までは少し急な斜面が続き、だんだんと口数も少なくなっていきました。ようやく三重塔に到着すると、遠くから眺めていた時にはわからなかった重厚で、繊細な塔の作りに目をみはっていました。600年近く前に建てられた建物をバラバラに解体して運び、再び建て直したものであると聞くと驚いた表情で塔の下に近寄り、小さなパーツが複雑に組まれた軒下を熱心に眺めていました。日本に地震が多いことを知っている研修員は、はるか昔から地震に強い建築技術が発達していたこと、その匠の技術が現代も大切に受け継がれていることに深く感動していました。
その後、大池の周辺を散策していると和装の婚礼衣装で写真撮影をしている人たちに出会いました。赤い打掛が庭園の緑に映えて美しく、研修員たちもしばし足をとめて眺めていました。短い滞在時間ではありましたが、都会の喧騒から離れ、心が洗われるようなひと時が過ごせました。
三渓園の次は本牧港に建つ横浜シンボルタワーへ向かいました。先ほどまでの景色とは対照的に広い海を背にそびえたつ近代的なデザインのタワーを見上げながら吹き抜ける心地よい海風に、研修員たちはリラックスした様子でした。展望ラウンジに上がると横浜港に入出港する様々な形の船を見ることができ、横浜港が現在も活躍する国際港であることを認識できました。
せっかくなので展望ラウンジのさらに上にある展望室も見学しよう!と、塔の中を階段で登っていきました。想像以上の階段の数に研修員たちからは「今日は朝からいっぱい歩いているから、良いエクササイズになっているよね」と笑いが起こりました。階段を登り切った先には360度横浜港を見渡せる美しい景色が広がっていました。研修員たちは、ランドマークタワーや羽田空港を離発着する飛行機を見つけ、苦労して登って来たからこそ見られた景色を喜んでいました。東京や千葉まで見たいと備え付けの双眼鏡にお金を入れて探す研修員もいました。あいにくの靄で視界が悪く、千葉までは見えませんでしたが、ベイブリッジの先に広がる景色を見つめながら、今度は自分で東京や千葉まで行ってみようと話していました。
久しぶりの秋の晴れ間に、伝統的な日本庭園と現在の横浜港、異なる二つの美しい景色を楽しむことのできたツアーとなりました。
 YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本の自然や文化を学ぶ機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美、石川義彦)

2016年9月28日水曜日

キャンプ報告会を実施しました。

2016年度夏期海外プログラム カナディアンライフ in キングストン 報告会
 2016年9月24日(土)報告会を実施しました。当日は14名のキャンプ参加者と保護者の方々にお集まりいただき、楽しい時を過ごすことができました。
 最初は少しぎこちない雰囲気だった参加者のみなさんも途中からキャンプ参加時と同じように仲良く、たくさんお話をして、とてもにぎやかになりました。
 報告書やビデオを使いながらキャンプ2週間のみなさんの様子をお伝えした他、キャンプに参加したお友だちから「楽しかったこと」を発表していただきました。
ビデオを見ながら、「こんなのいつ撮ったの?」や「私だ!」という嬉しそうな声も聞くことができました。
プログラムをお支え下さったみなさまに感謝いたします。
 参加者のみなさんからいただいたアンケートを参考にさせていただき、ますますパワーアップしたキャンプをご用意する予定です。
2017年度の横浜YMCA海外キャンプもお待ちしております!
(カナディアンライフin キングストン 鈴木)

エキサイティングなゲームを楽しみました。

横浜YMCA 地域交流事業「Volleyball of using Beach ball」 ビーチボールバレー」参加のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど相互交流の機会を設けています。9月22日にインドネシア機械工学博士課程1年)、マレーシア機械工学博士課程2年)、インド2機械工学博士課程3年、博士課程1年)の4名の研修員が横浜YMCAの会員交流ビーチボールバレー大会に参加しました。当初参加予定だった短期研修員4名が当日行けなくなったところで、丁度、出発時間にレストランで朝食を食べていた長期研修員達博士課程先輩)が、今週来日したばかりの研修員後輩)も誘って、急遽替わって4人で参加してくれました。急なことだったので皆で慌てて運動着の準備をして出発ましたが、結果的に研修員としては若くて元気な4人が揃いました。皆は同じ大学に通う博士課程の研修員ですが、普段運動をしていない皆さんなので怪我が心配で、「必ず事前にストレッチをしてくださいね。」との我々の心配をよそに、理工系だからか「大学では普段女子学生はあまりみかけませんが、今日は女子大学の体育館入れるのですか?」と、なぜか目を輝かせて話す研修員。「自分の国には女子高まではありますが女子大はありません。」と興味津々で心をときめかす研修員。しかし祝日で学生がいなことを知って少し残念そうにしながら体育館に向かいました。少し遅れて到着したので、すでにルール説明や体操も終わった後で「まもなく試合です・・・」のアナウンス。またまた、慌てて準備。試合前のトスジャンケン)はインドネシア流ではなく、とっさに日本流にあわせたジャンケンで見事に勝利した来日したばかりのインドネシア研修員。試合はYMCA職員チームとの合同チームで参戦しましたが、揺れるビーチボールに苦戦。勝ったり負けたりと徐々に表情が悔しそうになりました。チームは早々に予選リーグで敗退してしまいましたが、終わった後も他のチームの子ども達が上手にプレイする様子に感心して声を上げて応援していました。
  終了後は少しキャンパスを歩いて周り、「施設が綺麗ですね。天ぷら油も粉石けんに再利用しているのですね?」など新たな発見もあり。「教授になってこういう大学で教えたい~」だから、女子大に機械工学部はないって~・・・(汗))
 帰りには横浜駅で遅い昼食をとろうということになったのですが、4人がそれぞれ「牛肉がだめな人」「豚肉がだめな人」「肉を食べたい人」「麺や回転寿司はいやだ」という人とばらばらで、最後はバラエティ食がある「大戸家」にようやく落ち着き、好きなものを注文して反省会。「エキサイティングで楽しいゲームでした。バトミントン大会はありませんか?」、「コツが入りますね、僕たちは来年もいる(長期研修員)ので、リベンジしたいと思います。」などの感想がありました。今回は研修員にとっても異国の地で急なことも多々あり、エキサイティングな日でしたが、それらの環境の中でも楽しみながら参加することができ、軽い運動と交流の機会になって、来日したばかりでまだ慣れない研修員とっては気分転換になったとのことでした。
今後も市民とのプログラムに一緒に参加して体験するプログラムを行っていきたいと思います。
JICA-YMCAデスク 石川 義彦)

2016年9月26日月曜日

各国の方と一期一会のお茶の席

横浜YMCA地域交流事業「Enjoy Tea Ceremony 茶道体験プログラム」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 9月16日にドミニカ1、ブータン1、モザンビーク2(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進)、モロッコ1、カメルーン1、モザンビーク1、ナイジェリア1(ABE2016・第3バッチ・横浜国立大学)、とボランティアの参加で茶道体験プログラムを実施いたしました。前日がちょうど中秋の名月ということもあり、今回の茶道プログラムは"お月見“をテーマに開催しました。
 Y.I.C(JICA横浜)の3階の和室に集合した研修員たちは、初めて見る屋外の路地風に設えられた茶室の入り口に少し驚いた表情を浮かべながらも、飾られた秋の草花や月への供え物・月見の説明を聞きながら、これから始まる茶会にむけて心を落ち着かせていました。亭主役の講師より簡単なお茶の作法の説明が始まると、研修員たちの背筋も伸び、みな真剣な様子で聞き入っていました。部屋の中での歩き方やお月見の掛け軸・生け花の見方など初めて聞く作法に戸惑いつつも、それぞれに意味があることがわかると納得した表情を浮かべ、練習する姿も見られました。
 リーダーを決めて、誕生日順に席に着くといよいよお茶会のはじまりです。はじめに主菓子(うさぎの練りきり)が出されました。初めて目にする和菓子に不思議そうな表情を浮かべる研修員もいましたが、美味しい!と完食する研修員もいました。静かな室内にはお茶を点てる音のみがひびき、茶室の空気も次第にぴんとはりつめていきました。目の前にお抹茶が運ばれてくると、みなそれぞれ習った手順を思い出しながらお椀を手にし、人生初の抹茶を味わいました。抹茶の見た目、苦味に驚く研修員もいましたが、昔から薬として飲まれるほど体に良いと聞くとうなずいて、飲み干す研修員もいました。
 全員で抹茶を頂いた後は、立礼式(テーブルでいすに座ってお茶を点てる)で研修員たちも実際にお茶を点てる体験をしました。男性は法被に帯を締めて、女性は軽く着物を羽織って挑戦しました。衣装を着ることで自然と背筋も伸び、手さばきも優雅になったようでした。全員交代でお茶を点てる人、運ぶ人、お客を体験し、簡単な茶道の流れを学びました。実際に道具を手にすると、細かな手順が難しかったようで、講師の手元を何度も確認する研修員もいましたが、正しく道具を使いこなして上手に抹茶を泡立てて、講師も驚くような研修員もいました。
 今回のプログラムに参加した研修員からは抹茶が体に良いことは前から知っていたので体験できて良かったと感想がありました。お菓子も、さつま芋のチップスが気に入ったようで、同じさつまいものお菓子でも母国との違いに驚いたとも話していました。
 短い時間ではありましたが、世界中から集まった人々との一期一会と、秋の恵みに感謝しつつ秋のお茶会は終了しました。
 YMCAデスクでは今後も日本文化を体験し感じる機会をこれからも作っていきたいと思っています。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美、石川義彦)

2016年9月23日金曜日

横浜での生活をはじめるにあたって

横浜YMCA 地域交流事業「Beginner’s Tour ビギナーズツアー」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 9月14日(水)にケニヤ1、エチオピア1(建設機械整備及び建設施工技術)、インターン1の計3名で、馬車道~桜木町周辺をめぐりながら日本に来て間もない研修員のための文化や日常生活について学ぶビギナーズツアーを行いました。 研修員たちは来日後、JICA横浜からほとんど外出する機会が無いそうで、見るものすべてが新鮮で、興味津々といった様子でした。 まず彼らの目に留まったのは大型のコインパーキングでした。多くの車が停まっているのに人影はなく、何のために停めているのかと不思議そうでした。日本の交通違反の取締りや罰金の話を聞くと驚いた様子で、多くの人がわざわざ駐車場に車を停める事に納得していました。大規模の駐車場が無人で、トラブルなく運営されるシステムにも驚いた様子で、駐車場に入っていく車の様子を注意深く見つめていました。
みなとみらい線の馬車道駅近くに来ると、地下鉄を見たことがないので是非、改札口まで降りて見てみたいとリクエストがあがりました。どこまでも続く下りのエスカレーターに加え、想像以上に広い空間が広がっていたことに研修員たちは興奮気味でした。改札口の奥に、プラットホームへと下りるエスカレーターが続いているのを見つけると、まだ下に続くなんて信じられない!と笑いながら、まるで地底探検のようだと話していました。
馬車道駅の見学の後は地上に戻り、馬車道通りの散策を続けました。通りには歴史的な建物がいくつも残っていて、研修員たちは歴史的に価値のある建物が現在も大切に使われていることや、回りの現代的な建物になじんで美しい街並みを作っていることに感心していました。通りの両側には様々な店、レストラン、居酒屋などが並び研修員たちにとっては日本人が普段どのような店を利用し、どのような食事を食べるのかを見ることができました。居酒屋のメニューを見た研修員は、彼らの国では生で魚を食べる習慣がないので刺身や寿司の写真に驚いていました。また日本では、生で魚を食べる以外にも焼いたり、揚げたりと様々な調理法があることを知り、これなら自分たちも挑戦できる!と喜んでいました。ケニヤには焼き鳥のように肉をくしに刺して野菜と一緒に食べる料理があるそうで、遠く離れた日本で共通点を見つけ親近感を感じていました。
大きなドラッグストアの前に差し掛かると、散歩中の人懐っこい犬が研修員たちのもとに近寄ってきて、飼い主さん、ワンちゃんとの交流タイムとなりました。飼い主さんからその犬が12才(人間で言うと70歳以上)の老犬だと聞くと、驚いた様子で犬を見つめていました。自宅で犬を飼っているという研修員は、自分の犬の話を話したり、日本での犬の散歩の様子をたずねたりと犬好きに国境は関係ないといった感じでした。
桜木町駅では、今後自分たちで横浜まで出かけられるようになりたいとのことだったので、券売機で実際に切符を購入する方法を確認しました。はじめは沢山あるボタンや、挿入口に戸惑った様子でしたが、英語の画面表示もあり、使ってみるとそれほど複雑ではないと安心していました。
最後にコレットマーレの地下にあるスーパーマーケットを見学しました。普段はJICA横浜で食事をとる研修員たちにとって日本の果物や野菜はどれも珍しく、次から次へと質問が飛び出しました。今、旬の梨や柿、栗は初めて見る食べ物で味や食感、産地にいたるまで興味は尽きませんでした。また、ジャガイモや玉ねぎ、キャベツといった世界共通に思える食べ物も研修員たちの母国のものとは形や色、大きさも異なり目新しかったようで、日本の食文化への興味が高まったようでした。
ツアーに参加した研修員は「自分たちだけで歩いていても気がつかない日本の文化や、食生活、日常生活の様々な情報を得ることが出来、大変勉強になりました」と感想を述べていました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本の文化や生活について学べる機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田 真由美)

世界のトヨタを知りたくて

横浜YMCA地域交流事業「Kanagawa TOYOTA Tour神奈川トヨタ自動車見学」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
9月10日にマラウィ1(空港建設、運営、維持管理計画策定)、ドミニカ1、レソト2、モザンビーク1、モンゴル1(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進)、エチオピア2(建設機械設備及び建設施工技術、空港建設、運営、維持管理計画策定)、セネガル1(職業訓練の運営・管理と質的強化)、ケニヤ1(建設機械設備及び建設施工技術)、ブラジル2(家畜感染症及び人獣共通感染症の診断予防技術、医療材料と再生医療)、ペルー1(植物遺伝資源の多様性保全に関する先端科学教育)、アフガニスタン4(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進、建設機械設備及び建設施工技術、PEACE/2014・農学・横浜市立大学生命ナノシステム科学研究所)、ミャンマー2(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進、空港建設、運営、維持管理計画策定)、の19名で神奈川トヨタの本社を訪問しました。
 行きのバスの中ではトヨタ及びトヨタの生産方式とカイゼンの情報を得ながら横浜近くの神奈川トヨタに向いました。最初に会議室にて日本の自動車販売の現状と神奈川トヨタの具体的な取り組みについての説明を聞きました。研修員たちは販売店が顧客の走行距離や家族構成・年齢などの様々なデータを元に、ただ車を販売するのではなく、タイヤの交換時期のアドバイスやチャイルドシート購入の提案など顧客のニーズに合ったサービスを提供しているという話に、そこまで徹底したサービスをするのかと驚いていました。顧客データを「宝の山」なのだという点に大いにうなずいていました。
 続いてトヨタ最新の水素エネルギー車“MIRAI”の仕組みと、水素電池についての説明を聞きました。「この自動車にはエンジンがありません!」という言葉に研修員たちは冗談だと笑って聞いていましたが、水素電池の仕組みについて聞くうちに真顔になっていきました。そして”MIRAI”がクリーンでエコな、夢のようなエネルギー自動車であり、それが今日見学できるとわかると驚きの声が上がりました。
説明を聞いた後はショールームへ移動し、展示車を見学しました。 最新のスポーツ車ーやミニ電気自動車、そして特にボタン操作でイスが自動で回転・上下する福祉車の人気は高く、実際にボタンを操作したり、座り心地を確かめたりする研修員が多くいました。実際に試してみた研修員は、自分のタイミングでイスを止めたり動かしたり出来るのが安心だと話していました。次に整備工場を見学しました。明るくて整理整頓された整備場に研修員たちは驚いた様子でした。空調もきちんとコントロールされて快適な環境であることや、女性の整備士が多くいることも海外の整備場とは大きく違うと話していました。
最後はお待ちかねの“MIRAI”の見学でした。青く輝く車体に研修員からも歓声が上がりました。車のスタートスイッチを入れても全くエンジン音のしない車に研修員たちは興味津々で、車体の前を覗き込んだり、運転席に座って車内を見回したりしていました。車の後ろ側に回ると、排気ガスが出てこない代わりに水が排出される様子が実際に確認でき、会議室で聞いたとおりの化学反応が車の中で起きていることを実感していました。
“MIRAI”を見学後、会議室に戻ると研修員からは「“MIRAI”はどれくらいの台数が販売されたのか?」「温度や標高は自動車の性能に影響しないのか?」「“MIRAI”の未来には何がくるのか?」など、様々な質問があがりました。これまでに販売された“MIRAI”は数百台だけど予約者は数千人にいることや、“MIRAI”の製造はすべて手作業のため手間がかかり、1日10数台しか作れないが日本国内だけでなく世界からも注文が入っていて、今注文を受けても納入は4、5年後になること、すべての環境に対応できるように何千回、何万回もテストを行っていること、超高齢化社会に突入する日本では過疎地の交通手段に完全自動運転を導入しようとしていることなどの話を聞いた研修員は、何十年も先の未来の生活を考え、実現に向けて日々進歩している技術と人々の努力に改めて驚いていました。難しい技術の話をわかりやすく、丁寧に説明してもらえてとても勉強になったと感想を述べていました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本の技術・文化を学ぶ機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 石川 義彦、野田真由美)