2017年2月10日金曜日

それぞれのハラールについて

横浜YMCA地域交流事業「Yokohama International Forum 2017(よこはま国際フォーラム2017)」参加のご報告
 横浜YMCA では、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 2月4日、5日にJICA横浜にて横浜国際フォーラム2017が開催されました。私たちは2月4日の午後に「ハラルって何?~JICA研修員から聞く、身近なハラル~」と題したセッションを行い、モロッコ(横浜国立大学研究課程)、エジプト(横浜国立大学修士課程)、インドネシア(慶応大学機械・製造工学博士2)、ブラジル(医用材料と再生医療)の4名の研修員と、23名の一般来場者の参加がありました。
 最初にイスラム教徒であるインドネシア、モロッコ、エジプトの研修員が順番にプロジェクターを使用してイスラム教についてや、日本で感じたカルチャーショック、イスラム教徒として日本で苦労していることなどをそれぞれの視点から話しました。イスラム教にあまりなじみのない日本人が少しでも身近に感じられるようにと、研修員たちは限られた持ち時間のなか、写真やビデオを使ってわかりやすく説明していました。日本につたえられるイスラム教の情報の中には間違っているものもあり、女性に厳しく、過激なテロリストの多いイメージもありますが、研修員の話を聞くと実際にはみな大変穏やかで慈悲深く、女性に地位や権利を守る宗教であること、偏った情報で誤解していることに気づかされました。エジプトの研修員が「女性がいつもぶたれているだなんてとんでもない。ありえません!私の国では男性が女性にぶたれることはあります」と話すと会場は笑いに包まれました。特に“ハラール(認められたもの)とハラーム(認められないもの)”に関する話では熱心にメモを取る来場者の姿が会場のあちらこちらで見られました。
研修員たちのプレゼンテーションの後は一般来場者との質疑応答が行われました。仕事などで海外から訪れるムスリム旅行者を案内する機会が多いという人達からは「他宗教の教会や寺院の中でムスリムの人にお祈りをするための場所を提供しても大丈夫なのか」「レストランへ案内するときは何料理屋へ連れていくべきか」などお祈りや食事に関する質問が多く上がりました。
また、研修員からは日本側への提案として公共のエリアにイスラム教徒に限らずどの宗教の人でも利用できるお祈りの場所が増やすことや食品の原材料・産地の英語表記などがあがり、活発な意見交換が行われました。印象的だったのがモロッコの研修員がイスラム教徒として日本での生活に不便に感じることもあるが、日本人の道徳心の高さや優しさなど学ぶところの方が多く、快適に過ごせていると話していたことでした。 
私たち日本人がイスラム教に限らず、様々な宗教を正しく理解し、お互いを尊重するところから真の国際交流が生まれるのだと感じました。これからも異なる文化・宗教・民族の人々が共に集い、語らい、お互いの理解を深めることのできる機会を作っていけたらと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美、石川義彦)